ADHDの時期による症状経過
ADHDが未治療の場合と治療後の場合の変化を取り上げてみました。
1. 初期症状(未治療の状態)
治療前は、脳の「報酬系」と「実行機能」のアンバランスが剥き出しの状態です。日常生活に多大な支障(脱水症状)が出ています。
- 不注意の嵐: * ケアレスミスの多発(名前の書き忘れ、添付ミス)。
- ワーキングメモリの不足による「物忘れ」(鍵、財布、スマホを常に探している)。
- 転導性の高さ(一つの作業中に別の刺激が入ると、元の作業を完全に忘れる)。
- 多動・衝動の暴走:
- 待てない(行列、会話の順番、信号)。
- 衝動買い、衝動的な発言。
- 貧乏ゆすりや、常に何かをいじっている落ち着きのなさ。
- 二次的な症状:
- 絶え間ない叱責による自己肯定感(自己概念)の低下。
- 刺激を求めたスマホ依存やアルコール依存。
2. 治療後(薬物療法や環境調整を行った後)
コンセルタやインチュニブなどの薬剤、またはHomeo-scopeのような外部制動が効き始めると、症状は「制御可能」なレベルへと変化します。
- 集中力の持続: 雑音の中でも一つのタスクを完遂できる時間が増える。
- 衝動のブレーキ: 「あ、今これを言ったらまずいな」と一瞬踏みとどまれる。
- 情緒の安定: 多動によるイライラが減り、対人関係の摩擦が減少する。
3. 残存した症状(Residual Symptoms)
適切な治療を受けてもなお残りやすく、大人のADHDにおいて最も「知恵(ハック)」が必要な部分です。
- 「実行機能」の微細なエラー(先延ばし):
- 着手困難。やるべきだと分かっていても、エンジンがかかるまでに膨大なエネルギーを要する。
- 優先順位付けの混乱。タスクが重なると「パニック」になりやすい。
- ワーキングメモリの限界:
- 集中はできるようになったが、複数の指示を一度に受けると、やはり一部が抜け落ちる。
- 内面的な多動(思考の多動):
- 外見上は静かになっても、頭の中では常に複数の思考が高速で回転しており、疲弊しやすい。
- 「時間盲(Time Blindness)」:
- 時間の経過を体感として捉えるのが難しく、締め切り直前まで動けない、あるいは準備に時間がかかりすぎる。
- 感情調節の「脆弱性」:
- 疲労時やストレス時に、ADHD特有の過敏さ(感覚過敏や拒絶敏感性)が顔を出す。



