金閣寺を焼かねばならぬ2 精神病跡学

三島由紀夫といっても長嶋茂雄といっしょで現役時代のことはしらないし、著書も読んだことのない人がほとんどと思う。三島由紀夫 三船敏郎 尾崎紀世彦 加山雄三 なんと濃い人がおおかったの か皆さん胸毛もある
ある面戦後は男性的ホルモン的な世界だったのかもしれない。
三島由紀夫が衝撃的な自殺を遂げたのは高校の時であった。東京から来ていた有名な歌人でもある国語の教師がみんな影響受けるんじゃないよと諭していたのを覚えている。その先生は見てからに女性的なひとで生徒からある種の傾向をからかわれていた。折口信夫の愛弟子なのでショックを受けていたのはその先生自身だったかもしれない。
私は母の実家が地方ではおおきな書店だったので三島に触れる機会はおおく、特に晩年の4部作豊饒の海は新潮社の朱色系の美しい装丁もあり所有していたのではないかな、三島の本には朱色のイメージがなぜか強くある。
私たち軽薄な高校生は三島の自決より当時の秀才生徒会長が校内評判の美人に失恋したことで高校の屋上から投身自殺を遂げたことで喧々諤々の議論となりあるものは喚き、軽蔑し、泣きなどと長時間大変な騒ぎになったことを覚えている。今から考えると三島がある建築系の財閥の女性に失恋しそれが後世の作品に大きな影響を与えたことを知っている。私が東京に出てきてからは祖父が父に買い与えたちいさな家が市ヶ谷近辺にあったので散歩しているうちにどうやらその女性が嫁に行った邸宅らしきものの近くを散歩したことがある。南欧風というかスペイン風というか奇しくも三島が南馬込に建てた自邸と似ていた。私はこのころから小説そのものより小説評論を多く読んでいた。作家がどのような人であり、どのような創作動機があり、社会との関係でその作品はどのような展開を持っていたかである。それは奇しくも精神病跡学とよく似た構造を持っていた。