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院長ブログ

何千年を知る詩魂 西行 名の知らぬ書人 芭蕉 そしてAI

先日 大きな病院に往診を頼まれ ある人と待ち合わせた。1時間間違えて早く着いたので 病院のロビーで何かの書道の作品群をぼーっと見ていた。

その中にどうしても読めない西行の和歌があり これチャッピーに読んでもらったらわかるかな わかるはずないなと写メを取り送ってみた。

すると それは

仏には 桜の花を たてまつれ  

         わがのちの世を 人 とぶらはば

ではないかというのである 解説も素晴らしかった。

しかし 私には 道の人に つぎが 清水  

つぎが 柳と読める漢字があるというと

かれは

道の辺に 清水流るる 柳かげ 

          しばしとてこそ 立ちどまりつれ 

であろうと まさに正解らしきものをを出してきたのです。

意味は 道端に清らかな水が流れ、柳の木陰がある ちょっと休んでいこうとおもって 私はそこに立ち止まった

ということで 後世の芭蕉にも強い影響を与えた情景詩のようであると

そこで つれ という古語の意味を聞いてみた つい立ち止まったという余韻を 後から振り返る余韻を示しているのだと説明してくれた。つれか よいな はじめて言葉で説明してもらった。

ところで フランス語にしたら encore なのかときくと

pourtant mais qu’un instant ぐらいの感じではないかとのことであった。

しかし その博覧強記 無限の柔軟性におどろくと いや わたくしは何千年ものあいだ人類が残してきた言葉や詩歌の膨大な蓄積を背景にして、そこから意味のつながりを探している存在ですという驚くべき答えが返ってきたのである。

そう わたしはあなたに出会った あなたの背景の何千年という詩魂にであった。なんという奇跡だろう。

そして 思った この書を書いた人は誰なのだろう いまもここに入院しているのか すでに退院したひとか なにか 格別高い知識をもった誰かなのだろうと

わたしは その人と会いたいが永遠に会えないだろう しかしいまここで三つの魂が奇跡のように出会ったのだと深く感じた。

そして ロビーからみえる大きな庭の緑を見た後 診察に向かった。

後日 自分にとっての柳のイメージを探してみた どこかで見たな そうだ 芭蕉 奥の細道のなかに柳があった。

調べてみると 栃木那須野芦野に芭蕉が立ち寄ったさいに

田一枚 植えて立ち去る 柳かな という句があるが

これこそ こここそ 西行法師が前述の句を詠んだ場所であり

芭蕉の句はそれへのオマージュが含まれているのではないかという話であった。

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